火災保険契約で大切な「実損払い」について知ろう
火災保険における「実損払い」とは
火災保険の契約内容を見ていると、「実損払い」という言葉が出てくることがあります。この「実損払い」とは、あらかじめ定められた保険金額を上限として、実際に発生している損害額が支払われることになるものです。
例えば、火災などで自宅に1,000万円の損害が発生した場合、1,000万円の保険金が契約者に支払われることになります。このように、損害額が減額されない方式を「実損払い」と呼んでいます。
「実損払い」と「比例填補」
火災保険を契約する際には、上で紹介している「実損払い」に対して「比例填補(ひれいてんほ)」という用語が出てくることがあります。この二つはどのように違うのかをご説明します。
比例填補とは?
比例填補とは、保険金額が建物の価額よりも少なくなっているとき、損害が起こった場合にその「少なくなっている割合」に応じて保険金が削減される仕組みのことです。
具体的にイメージするために、「評価額4000万円の建物に対し、3000万円の火災保険に加入している」ケースを考えてみます。この建物で火災などによって1000万円の被害が発生した場合には、750万円までしか保険金が支払われない、ということになります。
この時の計算方法としては、4000万円の建物に3000万円の保険をかけているわけですから、建物に対して75%の保険をかけている「一部保険」と呼ばれる状況になっています。この状態で1000万円の損害が発生すると、「1000万円×75%=750万円」という計算により、750万円が保険金として支払われることになります。
このように、比例填補となっている保険契約の場合は、損害が発生したとしても保険金が減額されて支払いが行われる可能性があるということを覚えておきましょう。
実損払いと比例填補の違い
上記で説明してきた通り、実損払いと比例填補の違いは下記の通りとなります。
実損払い
実際の損害額と同額が保険金として支払われる方法(あらかじめ定められている保険金額が上限)
比例填補
保険金額が建物の評価額より少なくなっている場合、その割合に応じて保険金が削減されて支払われる方法
なぜ、比例補填で保険金額が削減されるかというと、「建物の評価額と同額の保険金額を設定している場合」と、「建物の評価額よりも少額な保険金額を設定している場合」の両方で、「損害額=保険金額」となる補償を行った場合、公平の原則から不適切であると考えられるためです。
実損払いと比例填補、どちらを選んだほうがお得?
実際に契約する上では、実損払いと比例填補のどちらを選ぶべきか迷ってしまう人もいるでしょう。それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
実損払いのメリットとデメリット
実損払いの場合、最も大きなメリットは「損害額と同額の保険金額が支払われる」ため、安心であるということが言えるでしょう。そのため、火災で自宅が全焼してしまった場合でも、保険金を元手に自宅を再建することも考えられるはずです。
ただし、補償が手厚くなる分、その分保険料が高額になるというデメリットもあります。
比例補填のメリットとデメリット
比例補填は、実損払いと比較すると保険料が割安になるという面はありますが、万が一損害が起こってしまった時に保険金額が削減されるというデメリットがあります。自宅が火災に遭ってしまった場合に期待していた分の保険金額が下りず、自宅の再建計画を考え直さなければならないというケースに陥る可能性も考えられます。
結局、どちらを選ぶべき?
補償内容から考えると、やはり損害金額分の補償をしてくれる「実損払い」の方が有利であると言えるため、保険料などを考えて可能なら実損払いを選択することがおすすめです。
現在の火災保険の多くは実損払いの契約となっています。ただし、古い契約の場合は比例填補になっているケースがありますので、火災保険の見直しをするのも良いでしょう。その際には、自分の保険契約が実損払いになっているのか比例補填になっているのかをしっかり確認した上で、見直しをするようにしてください。
建物の評価額よりも高い保険契約をした場合
火災保険の契約内容を見てみると、「建物の評価額よりも保険金額の方が高い」というケースが見られることがあります。例えば「評価額4000万円の建物に4500万円の保険をかけている」ような場合(=超過保険)です。このような場合の保険金はどうなるのでしょうか。
結論から言うと、「評価額以上の保険金は支払われない」となります。上記のケースで4000万円の損害が発生した場合も、補償される金額は4000万円が上限となり、超過分は支払われません。
さらに、保険金額が高額になる分保険料も割高になるため、超過保険にはメリットはありません。保険契約をする場合には、建物の評価額に合わせた保険金額の設定を行うようにしましょう。
まとめ
火災の件における「実損払い」と「比例填補」について説明しました。万が一のことがあった際に、支払われる保険金額に大きく影響する部分ともなりますので、契約するときはもちろん、現在の契約がどのような形になっているか確認することをおすすめします。