マンション管理組合の火災保険とは?
ここでは、マンション管理組合が加入する火災保険について、概要や保険選びのポイント等について詳しく解説します。
マンション管理組合の火災保険の概要
マンションの購入する際には、通常、2種類の火災保険に加入することになります。1つ目が、世帯の専有部分の被害を補償する一般的な火災保険。2つ目が、マンションの共有部分の被害を補償するマンション管理組合の火災保険です。
共有部分は、マンションの住人のすべての共有財産です。管理組合が火災保険の加入を要請してきた場合には、同じマンションに住む世帯として、かならず加入に協力をしましょう。
マンション管理組合の火災保険が補償する対象
マンション管理組合の火災保険の補償対象は、マンションの共有部分です。一般には次のような部分が補償対象とされます。
なおベランダについては、日常的には専有部分に類した部分であるものの、火災等において、他の部屋の住人も避難に使用する権利を有することから、専有部分ではなく共有部分と解釈されています。
マンション共用部分に起こりうる損害
マンションの共有部分に起こりうる損害として、いくつかの具体例を見てみましょう。
火災や自然災害に起因する損害
共有部分に発生する火災や、台風・地震などによる共有部分の損壊、近隣の川の氾濫による玄関ホールの水災など、火災や自然災害によって共有部分に損害が生じるケースがあります。
設備等に起因する損害
エレベーターの故障、共有部分に属する給排水管の破裂、マンション外壁の剥離などにより、住人や住人以外の人に損害を与えるケースがあります。
マンション住人の不慮の事態に起因する損害
駐車に不手際による共有部分の損壊や、住人の不注意による階下の共有部分への漏水事故など、マンション住人の不慮の事態によって共有部分に損害を与えるケースがあります。
マンション管理組合の火災保険料を抑えるための4つのポイント
マンション管理組合の火災保険料を安くするために、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
保険期間を長めに設定する
1年ごとに保険を更新するよりも、数年分をまとめて保険契約したほうが、保険料は割安となります。保険期間内におけるリスクの変化等も加味する必要はありますが、少しでも保険料を抑えるためには、なるべく長期で保険契約をすると効果的です。
複数の保険会社から見積もりをとる
火災保険の保険料は、保険会社によって大きく異なります。また、ある条件を付けるとA社が一番安くなり、ある条件を外すとB社が一番安くなる等、一概に保険料を比較できない難しさもあります。保険代理店などを通じ、希望する条件下でもっとも保険料の安い保険会社を選ぶようにしたいものです。
個人賠償責任保険の非加入を検討する
個人賠償責任保険とは、マンションの住人が、マンション以外の場所において他人の身体・財物に損害を与えた際、この損害を補償する特約です。 個人賠償責任保険は、個人が入る火災保険や自動車保険にも特約で付けることが可能で、かつ、実際に特約で付けている世帯は少なくありません。マンション管理組合が重ねて加入すべきかどうかについては、住人アンケート等により確認してみたほうが良いでしょう。
水災補償の非加入を検討する
高台にあるマンションが川の氾濫などの水災被害を受けるリスクは、非常に低いと考えられます。土砂崩れのリスクがある場合は別ですが、地域のハザードマップ等を確認のうえ、水災補償の非加入を検討してみても良いでしょう。火災保険から水災補償を外すことにより、保険料は大幅に安くなります。
マンション管理組合の火災保険を見直すときのポイント
一戸建てと同様に、マンションに想定されるリスクもまた、その時々に応じて刻一刻と変化しています。組合の理事は、惰性で契約更新を続けるのではなく、変化するリスクの中で、常に最適な火災保険を検証する必要があるでしょう。
マンション管理組合の火災保険に詳しい保険代理店に相談を
マンションの管理会社に火災保険を一任するのではなく、マンション管理組合の火災保険に詳しい保険代理店にも相談することが大切です。 保険代理店では、必要な補償の提案に加え、外しても良い補償の提案も行っています。また、同じ補償内容の中で、もっとも保険料の安い保険会社を紹介してもらうことも可能です。 より有利な火災保険に加入するためには、定期的に保険代理店で火災保険の見直しを行うようにしたいものです。
一般組合員も含め、マンションに想定されるリスクを検討する
マンションの共有部分のリスク管理は、住人にとって他人事ではありません。組合理事だけで火災保険を検討するのではなく、一般組合員も含め全員で議論して火災保険を選ぶべきでしょう。掲示板等における火災保険の啓蒙活動に加え、戸別のアンケート調査なども積極的に行うことをお勧めします。
【まとめ】マンションの共有部分は全住人にとってのインフラ
マンションの共有部分は、一般社会で言うインフラの一部です。道路や水道管、電線などと同じです。これらインフラがなければ、私たちの生活は成り立ちません。 マンション管理組合が加入する火災保険は、住人全員のインフラを守る大事な保険。その大切さを住人全員が理解し、最適な火災保険を検討するようにしていきましょう。