第1話・天国から地獄へ【申請編】

日本は災害の多い国。いつ自然の脅威にさらされてしまってもおかしくありません。今回は、自然災害の一つ・火災について、実際に火事が起きてから元の生活を取り戻すまでの物語を紹介します。

火災保険の大切さについて考えるきっかけになれば嬉しいです。さっそく第一話から見ていきましょう。

登場人物:鈴木家

  • 主人公・鈴木まみ(33)…ひと月前建てたこだわりの注文住宅で充実した毎日を送る専業主婦。1歳の息子を夫に預け、ママ友との食事会に出るまでは幸せな毎日を送っていたが…。
  • 鈴木隆史(36)…火災を引き起こした張本人。多趣味で少年の心を持つサラリーマン。夢だった自分だけの趣味部屋で寝タバコをしながらうたた寝していたことが原因で火事に。
  • 鈴木陸(7)…明るくやんちゃな小学2年生。
  • 鈴木美央(1)…鈴木家待望の長女。

あの火事のせいで、私たち家族の人生は壊れかけた

___心の傷は今もなかなか癒えてはいません。

けれど、命を奪われずに今も元気に生きていられること、私たち家族に合った火災保険に真剣に探して加入していたこと、この2つだけは唯一の救いです。

「ママ見てー!ちょうちょさんがいるよ!」

「ほんとだ!可愛いね。あんまり追いかけまわしちゃだめよ。優しくしてあげてね。」

念願のマイホームを建ててもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。

キッチンの導線や、子供の成長に合わせて変えられる子供部屋、夫の趣味部屋。

これから一生この家に暮らすのだからと、こだわりをとことん詰め込んだ家だ。

こんな幸せがずっと続くと思っていた。あの日が来るまでは……。

___数か月経ったある日。その日は仲の良いママ友たちとの食事会の日だった。

元々インドアな趣味が多く子供好きな隆史は、こうやって時々私に自由な時間をくれる優しい夫だ。

お店に着くと、すでにゆきちゃんママと智君ママがビールを片手に飲み始めていた。

(このところ陸と美央に付きっきりでリフレッシュなんて全然していなかったな。今日はとことん飲んでストレス発散しようっと)

声が枯れるまで喋って飲んでひとしきり盛り上がった矢先、まみのスマホが鳴った。隆史からだ。

すでに酔っぱらっていた私は(後でかけ直せばいいや)と、すぐに電話に出なかった。

しかしその間も隆史からの着信は止まらない。

そろそろ会がお開きになる頃、ふとスマホを確認すると47件もの着信があった。

酒でほわほわした頭にかすかに不安がよぎる。

折り返しの電話をかけると、1コールもしないうちに隆史が出た。

「やっと繋がった…まみ、俺もうどうすればいいか……ホントごめんっ!!」

「ちょっと落ち着いて!……何があったの?」

電話の向こうで隆史のすすり泣く声と複数のサイレンの音が私の胸をえぐる。こんなに気が動転している隆史は初めてだ。

何かは分からないが、確実に良くないことが起きていることだけは理解できた。

畳みかけるように隆史が続ける。

「俺、陸と美央を寝かしつけた後、部屋でタブレット見てたんだ。

その時タバコ吸ってて、で…そのまま寝落ちしちゃって…気が付いたら火が布団に燃え移ってて……ほんとにごめんっ…」

一気に酔いが覚め、自分の心臓の音で電話の声が聞こえない。

「家が燃えてるってこと?陸と美央は?……ねえ!!」

「2人を連れて何とか外に出てきたから大丈夫だよ。でも家はもう…だめかもしれない。

……まみ本当にごめん。……とにかくすぐに帰ってきてくれ」

ついこの前建てたあの家が燃えている___あまりの衝撃に、私はその場で立ち尽くすことしかできなかった。

つづく

保険金の申請から支払までの流れ・その1
「まずは保険会社に連絡」

損害が発生して保険金が必要になった際には、はじめに保険会社へ電話をし、損害が起きたことやその理由などを伝えます。事前に損害状況を整理しておいたほうがよいでしょう。

その後、請求に必要な書類が保険会社から契約者に送られます。契約者は、契約に必要な以下の書類を揃えて、保険会社に送付します。

保険金の申請に必要な書類

  • 保険金請求書
  • 事故内容報告書
  • 印鑑証明書
  • 修理見積書
  • 建物登記簿謄本
  • 損害明細書
  • 写真

保険金は申請から支払いまで約1ヶ月かかる

火災保険は火災や風災といった大規模な災害から突発的に発生した事故までさまざまなリスクをカバーした内容になっています。損害の規模によって支払われる保険金の金額も当然ながら変わってきます。

保険金の請求手続きをしたらどのくらいで保険金を受け取ることができるのかについては、保険法で支払い期限が定められており、請求手続きの完了後から30日以内というのが原則となっています。

したがって1ヶ月程度かかると考えておけばほぼ間違いはないですが、先に述べたように損害の規模はさまざまで調査や確認をするために時間を要する場合には30日以内というのが延長されることもあるのです。

明確な基準があるわけではないですが、損害額が概ね100万円以内で証拠写真からすぐに損害を受けた原因が特定できる場合は、修理見積など必要書類が揃っていれば現地調査を行わず2週間程度で保険金の支払いが行われるケースもあります。

損害額が100万円を超える程度になると保険会社から委託された損害鑑定人などが現場確認を行い、支払保険金の計算内容をチェックして問題がないと判断されると保険金の支払いに移りますので1ヶ月近くかかることになります。

まとめ

第一話、いかがでしたでしょうか?いつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない災害。万が一に備えて、自分に合った火災保険商品を慎重に吟味してみてくださいね。

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。