火災保険っていくつも入っていいの?【重複契約について】

どんな保険でも補償内容が良いに越したことはありませんが、リスクに備えるためといって複数の火災保険に加入する重複契約は可能なのでしょうか。複数契約をすると起きると考えられる問題点や無駄について解説します。

火災保険に複数加入すると保険金が多くなるという誤解

複数の火災保険と契約(重複契約)をすると災害で損害を生じた時に受け取れる保険金の額が多くなると思っている方がいますが、それは大きな誤解です。どれほど多くの火災保険に入っていても受け取れる保険金額の総額は変わりません

火災保険の基本的な考え方は火災や自然災害により受けた損害を埋めるというものです。したがって損害額以上の保険金は支払われることはありません。重複契約の場合は各社で按分されるので保険金は1社契約の時と同じです。

複数の保険会社と契約しても告知していれば違法にはなりません。しかし重複契約をして2社から損害額を上回る保険金を受け取る「焼け太り行為」は認められていないのです。損害額を上回る保険金が出ないのは単独契約でも同じです。

評価額が2,000万円の建物に対して3,000万円の火災保険を契約し、災害により全損したとしても受けとることができる保険金は最大で2,000万円です。単独契約の場合はこれを超過契約と呼びますが重複契約でも考え方は変わりません。

生命保険は複数契約をしても、契約した分の保険金を受け取ることができますが、それと同じ感覚で複数の火災保険に加入しているとしたら今すぐどちらか一方を解約することをおすすめします。

知らないうちに重複保険になっている可能性も

重複保険をしてもほとんどの場合、無駄しか発生しません。永遠に支払われることがない補償に対して保険料を支払っているからです。ただそれをわかっていたとしても成り行きで複数社で保険に入ることはあります。

例えば増改築をした場合に業者から勧められて、増改築の部分だけ他社の火災保険に入ることになったり、始めに入った火災保険は補償対象が建物だけだったため家財保険を別の火災保険で契約したというようなケースです。

このような場合は保険料が無駄になる部分はありませんが、手続きが複雑になることが考えられます。何事もなく契約の更新だけ続いている分には問題ないですが、被災した際には2社に連絡をしてそれぞれ申請しなければならないからです。

災害に遭った場合はただでさえ現場は混乱し、思わぬ出費もかかるので大変な状況が予想されます。そのような状況の中で被害状況の確認や手続きを二重に行わなければならなくなるので無駄な時間を費やしてしまうことになります。

この他にも住宅ローンと一緒に長期の火災保険に加入したことを忘れ、ローンは前倒しで完済して終わったと思い、新たに火災保険に入ってしまうということもあります。知らずに二重契約になることもありますのでマメなチェックが必要です。

編集部からひとこと

火災保険の重複契約は故意に行わなくても、知らずにそうなっていたということもありますし、生命保険と同じだと思って複数の保険に契約していたなど知識不足や思い込みなど、さまざまな理由で起きる可能性があります。

火災保険への関心の低さも原因として考えられますので、できるだけ無駄を無くすためにも定期的な見直しは必要です。本当に自分に必要な保険なのか、補償内容は現状に合ったものかどうか検証することが望まれます。